タイ国ノンタブリ県の田村です。
最近，KNOPPIX3.2/3.3のリマスタをしていて，奇妙な現象に気が付き
ましたので，ご報告いたします。それは，CDから起動してHDにコピー
したリソース（/KNOPPIX以下）の容量が、突如増大するという現象
です。この問題については，かつて本家のForumで情報を集めていた時，
ハンドル名godber氏の投稿を偶然に読んで知ってはいましたが，本当に
経験したのは初めてです。その投稿はここです：
http://www.knoppix.net/forum/viewtopic.php?t=4694
この現象について当MLでも議論があったのかどうか，過去ログを調べ
てもよく分かりませんでしたので，一応報告だけはしておこうと思いま
した。もし「周知の事実」でしたら，読み飛ばしてください。
さて上記の投稿中godber氏は，2003年9月30日の記述でKnopper氏自身
の言葉を引用しています。それによると「kernelにiso9660の bugがある
んだ。君は運悪く，その犠牲になったんだよ。コピーの過程でhardlinkが
正確に認識されず，それぞれの位置にファイルが保存されてしまったん
だ。云々」というのが、その原因らしいのです。しかし問題は，この現象
がどういう条件下で発生するのか，という点です。いつも起こるという訳
ではありませんから，何か特殊な条件が揃わなければ発生しないに違いあ
りません。しかし，godber氏の記述からは，それを伺い知ることはできま
せんでした。当MLの読者の方々の中には，リマスタをなさっている方が大
勢いらっしゃると思いますが，この現象を経験なさった方がどの位いらっ
しゃるでしょうか。多分きわめて稀な現象なのでしょう。ともあれ，本当
に起きるのです。私の場合は、リマスタでパッケージの削除・追加を何度
も繰り返した後で，ファイルの断片化が心配されたため，それを解消しよ
うと思い，/mnt/hda11/<resource>を空の/mnt/hdb1/に一気に移転した時に
発生した模様です。こうした作業は普段はredhat9上のconsoleで行ってい
ます（私の機械のHDにはKnoppixはインストールしてありませんので）。
しかし，その時は，HD上にあった圧縮KNOPPIXファイルから起動して，
行っていたと記憶しています。それ以前に、この<resource>フォルダが
どの位の容量を有していたのか、正確な記録がありませんが，確か1.7GB
程だったと思います。残っているCDを調べると，事件以前の圧縮KNOPPIX
イメージは673MB (705,755,981 bytes)です。それが、masterからslaveに
移転した途端に巨大化し、2.2 GB (2,354,543,472 bytes)となってしまった
のです。
そしてその解消策ですが，godber氏は2003年10月21日の最後の投稿で，
http://www.stearns.org/freedubs/
を挙げています。重複ファイルを探し出して，それをhardlinkに置き換え
るscriptらしいです。godber氏自身は，これを使って最終的なisoイメージ
の容量を33MB削減することに成功したと報告しています。早速私も上記
のサイトからfreedups-0.6.0.tar.gzをダウンロードしました。解凍したと
ころ，freedups.plというperl scriptが出てきました。同梱されていたREAD-
MEには長い解説がありましたが，なかなか要領を得ません。しびれを切
らせて，とにかく使ってみようと思いきり，例の如く"chroot", "mount -t
proc /proc proc"という手続きを踏んだ後で，freedups.plを/usr/local/bin/
以下に配置して，"freedups.pl -h"でヘルプを呼び出しました。ヘルプの
最後の部分に幾つかの適用例があり、それが参考になりました。結局：
freedups.pl -a -d -f /lib
freedups.pl -a -d -f /usr
を使ってみることにしました。optionの意味は：
-a：「実際にリンクを張る」
-d：「最終変更日時が同一のもののみ」
-f：「ファイル名が同一のもののみ」
です。実は全く確信がなかったのですが，幸いにうまく行ったようで，
それぞれの成果は以下のようなものでした：
/lib -> Space saved: 3,386
/usr -> Space saved: 53,976,514
たぶん単位はbyteだろうと思いますが，どうも計算が合いませんでした。
いずれにせよ，freedups.plを当てた後の<resource>の容量は，約1.7GB
(1,817,705,855 bytes)に戻っていました。この使い方で本当に良かった
のかどうか，HDにインストールした時などに後遺症が発生しないかどう
か、全く不明ですので，ご存じの方がいらっしゃったら，是非ご教示く
ださい。なお，freedups.plの実行にはroot権限は不要とのことでしたが，
一応，rootで実行しました。その際に：
touch ~/md5sum-v1.cache
chmod 777 ~/md5sum-v1.cache
として，キャッシュファイルを作成しておき，書き込み可能にしておく
と良いようです。作動に支障はなさそうですが，「書き込みできない」
というエラー・メッセージが表示されます。
最後に，この「hardlinkの悲劇」が発生する条件ですが，一つ思い当たる
ことがあります。実はslaveとして使用しているHDがかなり古いものなの
です。IBMの10GB (ATA 33)で，長らく使用していなかったですが，作業
スペースが足りなくなったために，slaveとして組み込みました。masterが
Seagateの40GB (ATA 100)なので、同一のIDEに繋いで良いものなのかど
うか、不安があったのですが，機械は何の苦情も言わないし，それらしき
障害もこれまで発生してきませんでした。でも，もしかしたら、このこと
が関連しているかもしれません。現在，この「悲劇」を再現しようと色々
実験していますが，まだ「成功」していません。
以上，ご報告まで。なお，私はファイル・システムの技術的なことなど全
く分からぬ素人ですから，上記の記述に誤りや不正確さがありましたら，
どうかご勘弁ください。
田村志緒理
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